連載第60回
橋下知事の裏と表を知って思うこと──市民ウォッチャー・京都の総会記念講演から
『ねっとわーく京都』2009年7月号掲載
米東 勉
先日、ハートピア京都で行われた「市民ウォッチャー・京都」の総会に参加した。総会に先立ってフリージャーナリストの一ノ宮美成さんの記念講演が行われた。一ノ宮さんはいま大阪の書店で山積みされている『橋下「大阪改革」の正体』の著者だ。アマゾンの書評を見ると「その主張は共産党の府政批判を踏襲する立場からみたものであり、インタビューで登場する学者や組合幹部も共産系である。非常に偏った視点で書かれた本といえる。云々」という書き込みに代表されるように批判的な内容が多い。だが実際に講演を聴いてみると偏っているどころか、なぜ橋下「人気」があるのか? そのどこが問題なのかがよくわかった。
橋下府政の現状
橋下知事も小泉元首相と同じで「敵をつくって叩く」という手法の繰り返し。また「橋下改革」のロードマップは、実は数年前に関西の財界が考え出したことがもとになっていると聞いて、なるほどとうなづけることが多々あった。
また当日の講演では橋下知事、つまり関西の財界が推し進めようとしている「道州制」についてどこに問題があるか詳しく語られていた。「道州制」というと、斬新なイメージや言葉の響きがある。外交や安全保障(軍事)は国。経済対策や高速道路建設などの大型公共事業は州。そして福祉や教育などは市町村。道州制の導入で大型の公共事業がやりやすくなる一方、教育や福祉の分野では地域格差というか、貧乏な地域はますます貧乏、不便になってしまい京都も他人事ではない。
そのことを知っただけでもこの日の講演は聴いてよかったと思った。(詳しくはみなさんも一度『橋下「大阪改革」の正体』を読んでみてください。橋下知事のマスコミ利用法など非常に興味深いことが書かれています。橋下知事本人は更に上、国会議員や総理大臣を狙っていると思いますが、利用価値がなくなると意外と早く財界にポイ捨てされそうな気が…)
京都市だけでなく
ところで「市民ウォッチャー・京都」は地元・京都市に対する活動が中心ですが、私自身はもう少し活動の幅を広げたいと考えている。いま行政の中でどこがいちばん問題かというとやはり労働行政だと思う。具体的には労働基準監督署、そして労基署を統括する労働局。
規制緩和を推し進めたオリックスの宮内会長や経済諮問会議の奥谷礼子がテレビに出て自らに批判が及びそうになると、必ず“規制緩和は悪くない。きちんと役所が違反を取り締まればいい”というような内容の発言を繰り返す。たしかにおっしゃる通り。しかし実際は…。
先日も京都市内の中小企業で働く知人が有給休暇の申請をした。長男の小学校入学式に出たいという理由で有給申請。しかも申請したのは直前ではなく正月明けの1月10日。にもかかわらず会社を休むとそのまま欠勤扱い。事前に労基署に「取っても大丈夫ですよね?」と確認しておいたにも関らず…。後日、労基署に「欠勤扱いになった」と言いに行くと「会社には時季変更権がありますから」
そこで頭に来たので、これまでのサービス残業や有給休暇がまったく取れない実情、ボーナスがデタラメで「有給を1日も取らない社員は20万、取得した社員は2万円!」とかを訴えたものの、いつまでたっても会社の実態に変わりなし。本当に指導したのか? 情報公開制度で指導票を請求したところ、担当の監督官から請求直後に「なぜ情報公開請求なんかしたんですか? なぜ私を信じてくれないんですかぁ。会社に出した指導票はいつでも見せますよ」と携帯に電話が…。
ところが2週間後、当事者からの請求であっても私企業の経営に関るとの事由で非開示。しかも担当者は情報公開請求直後に電話なんか一度もかけていませんだって。(携帯の着信履歴も残っているし、隣で一緒に聞いていたんですけど)
各地の弁護士会が動いたので生活保護の申請受付はずいぶん対応が変わったと聞くが、労基署では相変わらず門前払い同様のずさんな対応が続いている。情報公開制度を活用してこういった課題に取り組んでいきたいと考えている。