「何で?」「どうして?」──あなたも「市民ウォッチャー・京都」にご参加を


連載第73回 『ねっとわーく京都』2010年8月号掲載

野崎 陽子(京都府職労連合)

今回は、このウォッチャーレポートに毎回寄稿している「情報公開と行政監視に取り組む京都・市民の会」(略称「市民ウォッチャー・京都」)の活動の一部を紹介します。 このコーナーを愛読いただいている方も個人、団体のどちらででも入会出来ます、一考していただければうれしい限りです。

この会の紹介パンフレットがあります。そのキャッチフレーズは、「その公金支出に意義あり! 市民の<常識>がお役所の不正をただします」となっています。そうです。市民目線・感覚での「何で?」「どうして?」が大切なのです。お役所では常識でも、世間では非常識と言われていますが、もう、そこに問題があるように思います。

パンフレットには「身近なところから行政監視活動」とも記してありますが「自分の生活実感から言って、こんな支出納得できない!」から始まり、まずは、疑問に思ったことをそれだけで突っ走るのでなく、もう少し詳しく調べ、一面的な事実や現象だけを捉えていないかを明らかにするため、「情報公開請求制度」を使って関係する資料を公開請求していきます。

専門知識がなくても簡単に出来るようです。こう書いている私自身もまだしたことがありません。この会に加入されている弁護士のみなさんが手際よく次から次へと情報公開請求をされているので、一度経験すれば簡単に出来るんだろうなと勝手に想像しています。情報公開請求が、専門家のような人にしか出来ないのであれば、そのことも「何で?」と突き詰めていくことも大切だと思います。

情報公開請求で取り寄せた公文書を読み込んでいく中で、違法といえる事実が判明したら、こんどは「住民監査請求」を行ない、訴訟へといきます。このあたりに来ると、専門家の弁護士さんの出番です。

この会には、弁護士さん以外にも、私のような労働組合、市民団体、個人など多業種の方が加入されています。

さて、先日、この会の総会が中京区のこどもみらい館でありました。「核と安保と米軍基地 情報公開法を使って国家のうそを暴く」のタイトルで、梅林宏道さんが記念講演をされ、お話しを聞きました。 労働組合の学習会で聞く角度とは少し異なったところからのお話しで、興味深いものでした。

講師の梅林さんは、アメリカの情報公開法を駆使して、日本では初めて在日米軍の実態を明らかにされた方です。お話の中でとりわけ印象に残ったことは、米国と日本の情報公開制度の大きく異なっていることです。

アメリカの情報公開制度は、1966年に施行、1975年にはより平易により早くなるよう改正され、2002年には政府機関の体制の整理について改訂されています。「政府と政府の持つ情報は人民に所属する」という考え方に基づく制度であり、公開しない9つの例外はあるが、公開しない場合は政府が責任を持つことになっているとのことです。

それに比べ、日本の情報公開法はその施行が2001年4月であったことを見ても、情報公開の不十分さは政府の消極性からくるもので、根底にあるべき精神は不徹底であり、行政の長の判断が優先されて公開が決まっているが日本の現状です。文書保管についての思想と制度は欠如しているし、文書管理体制も不備であり、そして専門職のアーカイビストの不在もアメリカと大きく異なっている等々の指摘には、驚くことばかりでした。一言で言うなら、日本の情報公開法は、お上(かみ)が与えたものという表現は、納得が行きました。

日本では、まず公開する文書の保管・管理のための政府機関の体制を国民のものにするところから始めないと、政府にとって後日不利になるものや不利になりそうなものが、いつの間にかどこかへ行ってしまいそうです。昨今の状況をみていると特にそう感じてしまいます。