連載第160回 『ねっとわーく京都』2018年6月号掲載
諸富 健(弁護士)
昨年、リニア中央新幹線の工事をめぐって大手ゼネコン4社による入札談合事件が発覚して、大きなニュースとなりました。この4社は独占禁止法違反で起訴され、国交省から4か月間の指名停止にされました。
言うまでもなく、談合は、公正で自由な競争を阻害するだけでなく、本来必要のない高いお金が支払われることで私たちの税金が無駄遣いされるという深刻な事態を引き起こすものです。ですから、公正取引委員会も、入札談合が最も悪質な独占禁止法違反行為の一つとして、厳しい目を光らせているのです。
この犯罪行為である談合が、ひょっとしたら私たちの足元でも行われているかもしれません。
京都市は、平成20年度から平成28年度にかけて、二条城警備業務(常駐)について指名競争入札を行いました。
京都市の入札情報については、「京都市入札情報館」というホームページに掲載されていますので、誰でも閲覧することができるのですが、この入札の落札状況を調べてみますと、驚くべきことが判明しました。
ある会社(A社)が参入した平成21年度以降、毎年5〜7社入札しているのですが、全て同社が落札していたのです。しかも、その落札率(落札額/予定価格)は約98%〜約99%! 8年にもわたって、一会社が100%に近い落札率で独占するなんて、本当に自由な入札が行われたのでしょうか。非常に不自然だと言わざるを得ません。
4月12日、市民有志が、こうした入札は違法な談合であり、このような談合がなければ京都市はより低い価格で二条城警備業務(常駐)を契約することができたとして、京都市長以下の管理者に対して損害賠償請求などの必要な措置をとるよう求める住民監査請求を行いました。
6月11日までに監査結果が出ますので、それ以降訴訟に発展することが予想されます。是非、今後の事件の行方にご注目ください。-